知らないから 選べなくなる 食べものを選ぶ 「自分のものさし」
先日「こだわりの味協同組合」の大展示会に行ってきました。
広い会場には、原材料や製法にこだわって食品をつくるメーカーさんがずらり。
管理栄養士として会社員をしていた頃から、メーカーさんの展示会に行く機会はよくありました。私が好きなのは、商品を見ること以上に作っている人から直接話を聞くことです。
- 「どうしてこの原料を使っているのか」
- 「この製法にしている理由は何か」
- 「どう食べると一番おいしいのか」
今回も話を聞いて「そのこだわり、好き」と思い、買って帰ったものがいくつもありました。

作り手の話を聞くと 食品の見え方が変わる
普段の買い物では、食品をつくった人から直接話を聞く機会はほとんどありません。私たちは、売り場に並んだ商品やパッケージの表示を見て選びます。
でも、表示だけではわからないこともあります。
原料を選んだ理由、製法へのこだわり、どんな思いで商品をつくっているのか

以前、私がお絵かきムービーを制作していたのも、商品だけでは伝わらない作り手のストーリーを伝えたいと思ったからでした。
「身体は食べた物で出来て居る!!!」
今回、こだわりの味協同組合・冨永昌良理事長の「食の安全の話」も聞きました。
食の安全についてかなり踏み込んだ内容ですが「夫はいいとしても、あなたと子どもは……」というようなユーモアを交えた言葉もあり、会場を笑わせながら話されます。

冨永理事長が長年伝えている言葉が「身体は食べた物で出来て居る!!!」です。
こだわりの味協同組合は、納得できる商品をつくっても売れない時期を経験し「違いを知ってもらおう」と食品の勉強会を続けてきました。
良いものをつくるだけでは伝わらない。まず知ってもらうことが必要だったのです。
「国産鶏」の国産は何を意味する?
講話の中では、知っているようで知らない食品の話も出てきました。たとえば「国産鶏」
「国産」と書いてあると、日本の品種の鶏だと思う人もいるかもしれません。実際には、日本国内で飼育された鶏を「国産」と表示できます。
一方、日本国内で育種改良された「国産鶏種」は別のものです。国内で飼育されている肉用鶏の多くは外国の育種会社に由来する鶏種で、国産鶏種はごく一部です。
外国鶏種が悪いという話ではありません。同じ「国産」という言葉でも、意味を知っているかどうかで選び方が変わる。私は、そこが大切だと思っています。
「ジュースに髪の毛?」という話
講話の中で出てきたのが、天然果汁の酸化や褐変を防ぐためなどに使われるL-システイン塩酸塩の話です。
「ジュースの酸化防止剤に人の髪の毛が使われていた」と聞くと、びっくりしますよね。
実際、過去には毛髪を原料としてL-システインを製造する方法が使われており、1969年の厚生省通知にも記載されています。海外では、人毛を原料にすることについて安全性だけでなく倫理面からも議論されてきました。
現在は、微生物を使った発酵法など別の製造方法が使われています。
ここで大切なのは「髪の毛が使われていた。怖い」だけで終わらないこと。
- 昔はどうだったのか
- 今はどうなのか
そこまで知って、初めて自分で判断できます。
食品の情報は一部分だけで判断しない
食品の情報では
- 「無添加だから安心」
- 「国産だから安全」
- 「海外では禁止されているから危険」
といった言葉もよく見かけます。でも、一つの言葉だけでは判断できません。
- 何を意味しているのか
- 元の情報は何なのか
- 今はどうなっているのか
事実を確認したうえで、自分は何を選ぶのかを考える。これが必要です。
「正しい」ではなく 自分のものさしを育てる
私は「これを食べるべき」「これは食べてはいけない」と決めたいわけではありません。選ぶのは自由です。
- 値段を優先する日もある
- 便利さを優先する日もある
でも、何も知らなければ選ぶこともできません。そして私たちが何を選ぶかは、これから市場にどんな食品が残っていくのかにもつながっています。
- 知らないから選ばれない
- 売れないから作れなくなる
- 売り場からなくなる
そうなると、選びたくなった時にはもう選べません。
毎回選べなくてもいい。選べる日が増えれば、選べるものも増える。
だから私は「正しいものを選ぶ」ではなく「自分のものさしを育てる」ことを大切にしています。
私だから伝えられることが まだある
今回の質疑応答を聞きながら「ここは意外と知られていないんだ」と思うことがいくつもありました。
病院、社員食堂、教育の現場で管理栄養士として働いてきたこと、メーカーさんや作り手から直接話を聞いてきたこと、
自分には当たり前になっている知識でも、まだ伝えていないことがあります。
事実や一次情報、実際の現場の声を確認しながら知ったうえで、自分で選べる人を増やす。
これからもっとわかりやすく伝えていきたいと思っています。
食と暮らしの小さな学校で育てたいもの
「食と暮らしの小さな学校」で伝えたいのも、正しい食品の選び方ではありません。
- 食品表示を見る
- 健康情報を読み解く
- 商品の背景を知る
そのうえで「私は何を選ぶ?」と考える。
情報に惑わされず、自分で選ぶための知識と「ものさし」を育てる
大人の学びの場です。
おいしく楽しく 自分を調える食と暮らしの小さな学校
「何を食べたら正解なのかわからない」ではなく自分で情報を読み、自分の基準で選べるようになりたい方へ。
無料の「TabeTabi 食と暮らしレター」でも、食品の選び方や食と暮らしについてお届けしています。
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